湖の中で男が何やらやっている。僕はすぐに車を湖畔のわきに止めて、しばらく観察することにした。
フライフィッシングをしているのだ。ここはパタゴニアのとある湖、現地のフッシャーマンと思われる。何故かというと近くに車が止めてあり、痺れを切らしたご婦人がドアを開けシートにもたれて、遠くの彼を睨みつけていたからである。そのうちその顔でこちらを見たものだから、僕も気が付いてつい目線を変えた。ご婦人の、いや彼の心境が伝わってくる思いがして、やはり一人で来るんだったなーと、思いながらキャストを繰り返しているのだろう。一方ご婦人のも付け加えておくと、ここは本当にお魚いるの?そろそろお弁当食べましょうー アッ虫がいるパッシッ!てな感じだろう。
フライFsはキャスティングが難しい、上手い人は30m近くフライを飛ばせる。こんな湖の場合、少しでも深いところで釣りたいものだから、つい腰近く迄ウエイディングするのだが、魚もそれだけ危険を感じて深みに移動することになるので難しい。背中からそろそろお弁当よ!ビームをご婦人から受けつつ、前方のいるであろう(ここまでおいで) 魚からは嫌われ、冷たい水の中彼はそれでも、ラインに夢を乗せて頑張っているのだ。
夢を追ってる男はいつも孤独だ。 オット!女性もだ、、