船の係留場所を安良里マリーナの中のここに決めた訳は、茅葺きの網小屋のある外海を望める堤防が目の前だからだ。
数日間船にいて何も思いつかない時に、よく上陸して時間を過ごした。
ほとんど人の来ないこの突き当たりは暗くなると猪や鹿が下りてきているのだろう、鼻や前足で掘った跡や茎の折れた羊歯葉が散乱していて、山に登って帰った獣道とその気配が辺りに残っている。
ゆっくりと歩き着くまでブロックやゴロタ石にぶつかる波の音、浦守神社の裏の森に気分も落ち着く。きのうも潮風に負けずに真っ赤な椿が小振りで咲いていた。
この景色に潮の香り
安良里はいい時間を過ごさせてくれた
そろそろ季節風が収まる頃、船を瀬戸内海香川に回航する予定だ