ようやく土肥を過ぎて、右に駿河湾を見ながら窓を開けて走ると、
夕日が暫くぶりの僕を迎えてくれた。
こんな時の自然は優しく思える。
トンネルを出て弁天島前の信号機を右に、港に着くと組合のTさんが終う作業をしていた。
ガラガラとシャッターを下ろしながら彼は、
「船底掃除また、何時でも言って下さい、冬でも潜ってますから」
中潮の満潮時刻、秋の今ごろはコンクリートの路上近くまで海面が迫って、
船がいつもより高く浮いていて不思議な気がする。
荷物をテンダーに載せて静かな夕闇が迫る中、灯台の光りをめざして僕は船に向かった。
明日の予報は晴れ、
風も弱く波もさほどでもないようだ、久しぶりの時間をひとり過ごす