針金のようによじれて海岸へと続く古い線路が残されていた。
向こうから人が来る,この先の事を尋ねるには、まだ時間がありそうなので、ゴトゴトとゆるんだ足元の木を確かめたり、光ったレールの上に乗ってフラフラと待つ事にした。
柔らかな逆光の海が見える、ただ波の音は意外に遠くであるのか聞こえて来ない。
子供の頃、線路を越える時に鳴り出した、ベルを叩く音が遠くで聞こえた気がした。
ゆっくりとした男の様だが、まだ暫く着きそうにも無いなと、また
僕はレールの上にとび乗ってクルッと回って、鳴る筈も無い音を聞いている。